不動産用語集

仮登記

登記を申請するための条件が完備していない場合に、登記の順位を保全するために仮登記を申請することができます。仮登記は、その条件が完備した後に本登記をする流れになり、その際の順位は仮登記の順位によるものとし、本登記と相容れない登記は効力を失います。

なお、仮登記のままだと対抗力はありません。

仮登記の種類:不動産登記法105条

仮登記は次に掲げる場合にすることができる
➀権利について保存等があった場合において、当該保存等にかかる登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、申請情報とあわせて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるもの(登記識別情報又は第三者の承諾情報等)を提供することができないとき。
➁権利の設定、移転、変更または消滅に関して請求権(始期付又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれる者を含む)を保全しようとするとき。

仮登記に基づく本登記の順位:不動産登記法106条

仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。(「順位保全の効力」)
仮登記は他の者がする本登記は妨げられないのですが、仮登記後に本登記をするまでの間に仮登記権利者の権利と抵触する登記がされた場合、仮登記権利者は本登記をする際、当該抵触する登記を否定することができます。
なお、仮登記の際は、本登記のための余白が設けられる。

仮登記の申請方法:不動産登記法107条

仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。なお、仮登記の登記権利者及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合については、登記識別情報の提供を要しません。

一号仮登記と二号仮登記
【一号仮登記】(条件不備の仮登記)
登記の対象となる権利変動が既に生じているのですが、登記申請に必要な手続き法上の用件を具備していない場合に、あらかじめ順位を保全するためにする仮登記です。
【二号仮登記】(請求権保全の仮登記)
当事者間に登記の対象となる権利変動はまだ生じていませんが、将来において権利変動を生じさせる請求権が発生している場合に、本登記の順位を保全するためにする仮登記です。売買の予約などの場合に仮登記をすることができます、登記簿にも所有権移転請求権仮登記・平成○年○月○日売買予約
と記載されます。

仮登記を命ずる処分:不動産登記法108条

裁判所は、仮登記の登記権利者の申し立てにより、仮登記を命ずる処分をすることができる。この申し立てをするときは、仮登記の原因となる事実を疎明しなければならない。

仮登記に基づく本登記:不動産登記法109条

所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾がある場合に限り、申請をすることができる。
登記官は、この申請に基づいて仮登記に基づく本登記をするときは、職権で第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。

仮登記の抹消:不動産登記法110条

仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独ですることができる。仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も同様とする。