給湯設備
給湯方式の違い
集合住宅で採用されている給湯方式は、局所給湯方式・住戸セントラル給湯方式・住棟セントラル給湯方式の3つです。
- 局所給湯方式
給湯の必要箇所にそれぞれ給湯機を設ける方式。ただし、配管で2箇所以上に給湯できるので、住戸セントラル方式に分類されることもある。 - 住戸セントラル給湯方式
住戸ごとに設けられた各給湯器から各給湯箇所(キッチン・風呂)へ配管で給湯する方式で、マンションで一般的に採用されている方式 - 住棟セントラル給湯方式
マンションの屋上等に熱元気や貯湯槽を設けて給湯箇所へ配管で給湯する方式や、地域暖房等から蒸気や温水の供給を受けて熱交換器を介して供給する方式
配管方式の違い
- 二管式(循環式)
給湯管だけでなく、返湯管も用いて常に湯を循環させる方式。常に一定温度の湯を得られるが、ボイラーも常時運転するので経費がかかる
※ボイラーを用いる二管式の場合、膨張間や膨張タンクも必要になります。 - 単管式(先止め式)
給湯管のみのもの。使用開始直後は、しばらく水が出る。マンションの住戸にはこちらが用いられる。
循環方式の違い
- 重力式配管法
対流作用だけによって湯が循環するような配管方式 - 強制循環式配管法
循環ポンプを返湯主管末端に設置して湯を循環させることで、安定した温度の湯が開栓後すぐ出るようにしたもの
加熱装置(給湯器)
- 貯湯式給湯器
ガス式・電気式があり、太陽熱利用のソーラーパネルと併用したものもある。貯湯槽内に貯えた水を加熱する構造で、湯温に連動して自動的に燃料通路を開閉あるいは電源を切り替えする機能を持っている。貯湯部は密閉されており、配管には、減圧弁、安全弁(逃し弁)および逆止弁等を必ず取り付ける。深夜電力利用温水器などの貯湯式給湯器は、一般に水道用減圧弁を介して給水管に直結されるが、この弁には逆止め機構が内蔵されている。 - ガス瞬間式給湯器
給湯栓を開くと供給された水は、蛇管を通過する間に加熱される。水が加熱されている間は給湯栓が開放されているので安全弁、膨張管は不要である。出力は号数で表される。
①瞬間湯沸し器の号数は、毎分25℃上昇で給湯する水量(1ℓ)であらわします。
例)20号給湯器 ⇒ 水温5℃のときに30℃のお湯を毎分20ℓ給湯するという意味です。高温のお湯を出す場合にはその分水量が減ります。
②ガス瞬間式給湯器には元止め式と先止め式とがあります。住戸セントラル方式には先止め式が利用されます。
③自動湯温安定式のガス瞬間給湯器には60℃以上の固定された出湯温度が得られる固定湯温式と、出湯温度の設定が可変の可変湯温式がある。 - ヒートポンプ式給湯器
自然冷媒(二酸化炭素)を用いて、コンプレッサーで大気中の熱を効率よく集めて給湯のエネルギーを作り出す仕組みで、電気に対して約3倍の熱エネルギーを作るといわれています。貯湯槽(タンク)と組み合わせて使い、蓄熱することにより電気容量を削減するとともに深夜電力の利用が可能となり、省エネや環境にも配慮できます。 - 潜熱回収式給湯器(エコジョーズ)
ガス廃熱で給水を予熱する方式で、省エネに貢献するが、少量の強酸性の結露水が生じるので、中和して排水するしなければならない。
配管材等
- 配管材
熱に弱い一般の硬質塩化ビニル管は使用しない。耐熱性硬質塩化ビニル管や銅管、耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管などが用いられる。最近では架橋ポリエチレン管やポリブテン管がよく使用されている。 - 排気管
BF型等で燃焼給排気を戸外から直接取り入れ排出するもの意外は、付近に排気ファンを取り付けるか、排気筒を用いて直接排気する必要がある。その際、排気筒内に防火ダンパー等を設けてはなりません、不完全燃焼の原因になります。