不動産用語集

区分所有建物

区分所有建物とは分譲マンションのことを指します。所有者全員で共有する一棟の建物部分と、複数の所有者がそれぞれ所有する専有部分(独立した部屋など)があり、登記簿謄本の表示方法も異なります。

区分所有建物の概要

区分所有建物は3つの部分からなります。

専有部分・・・構造上機能上、独立した区分所有権の対象部分。一般的にはそれぞれの部屋です。
共用部分・・・法定共用部分と規約共用部分からなり、所有者全員で所有する部分。エレベーターや管理室やエントランスです。
敷地利用権・・・区分所有建物の敷地に関する権利

ここで注意をしたいことは、バルコニーは共用部分になります。

区分所有者の共用部分の持分は、原則として専有部分の床面積の割合によって決められます。
専有部分と敷地利用権は分離して処分することはできません(分離処分の禁止)。

一棟の建物の表示

区分所有建物の表題部には、まず建物全体について表示に関する登記がなされます。これを「一棟の建物の表示」といいます。
一棟の建物の表示には構造(例:鉄筋コンクリート造 陸屋根 15階建)や建物の名称(例:永福町△ハイツ)や各階の床面積が記載されます。

なお、建物の登記簿の中には敷地権の目的たる土地の表示が記載されます。区分所有建物が建っている土地を使用する権利を敷地利用権といい、所有権・地上権・賃借権といった形態があります。敷地利用権のうち、区分所有建物と一体化され、分離処分できない権利のことを敷地権といいます。

Point
一戸建ての家の登記記録は表題部・甲区・乙区の3つからなりますが、区分所有の場合は一棟全体の表題部・表題部・甲区・乙区の4つからなります

専有部分に関する表示

次に、各所有者が所有する建物部分の表題登記・甲区・乙区が記載されています。

表題部には家屋番号(登記上の番号)や建物の番号(部屋番号と一致することが多い)や構造(例:鉄筋コンクリート造 1階建)や階数や床面積が記載されています。

※登記簿上の床面積は内法面積(壁の部屋の内側から図った面積)であり、分譲時のパンフレットに記載される壁芯(壁の中心線)からの床面積とは異なるので注意が必要です。さらに言うと、マンションは下の階と上の階では内法面積が異なり、下に行くほど柱が太くなるので部屋が狭くなります。

敷地権の表示

敷地権の目的たる土地は、区分所有者が共有(敷地権が賃借権・地上権の場合は準共有となる)しているので、その敷地に対する区分所有者の持分が、専有部分に関する表示の中に登記されます。

区分所有の用件

一棟の建物を区分して、その区分した部分ごとに別々の所有権が成立するためには、その区分された部分が他と独立していることが必要です。独立性の内容としては、構造上の独立性(壁・扉・床・天井などによって、他の部分と遮断されていること)と利用上の独立性(独立して住居・店舗・事務所・倉庫その他の用途に利用できること)が要求されます。

構造上の独立性に関連する判例

  1. 構造上他の部分と区別された建物部分とは、建物の構成部分である障壁、階層等により独立した物的支配に適する程度に他の部分と遮断され、その範囲が明確であることをもって足り、必ずしも周囲すべてが完全に遮断されていることを要しない。
  2. 障子、襖等の間仕切りがあっても、相互の行き来が自由な構造になっている場合は、構造上の独立性を有しない。
  3. 駐車場については、その周囲のすべてが壁やシャッターによって外部と遮断されていなくても、区画が明確であれば構造上の独立性は否定されない。

 

利用上の独立性に関する判例等
既存建物の上に増築された上階部分で、外部への出入りが既存建物内の階段を使用するほかない構造であるものは、構造上および利用上の独立性が認められない。

共用部分の混在
倉庫や車庫として利用されている専有部分に、共用部分である配管、配電盤、マンホール等が設置されている場合でも、その共用部分が小部分を占めるにとどまり、その他の部分は排他的に使用できる場合、当該共用部分の保存・利用にも影響を及ぼさない限り、共用部分の存在によって構造上および利用上の独立性が損なわれることはない。

区分所有権の成立

一棟の建物に区分所有権の目的となりえる複数の部分が存在しても、それらの部分が当然に区分所有権の目的となるわけではなく、普通建物とするか区分所有建物とするかは所有者の意志に委ねられている。マンションを建築した建築主は、それを普通建物として賃貸マンションにすることも出来るし、区分所有建物として分譲マンションにすることもできる。

  1. 区分所有建物とする意思を外部に表明(分譲の広告など)して新築した場合、完成と同時に区分所有権は成立する
  2. 意思表明しないで新築した場合、外部に表明したときから区分所有権は成立する
  3. 所有者の既存の普通建物に接続して、別の者が区分所有建物の要件を満たす建物を増築した場合、増築時に区分所有権は成立する
  4. 所有者の既存の普通建物に接続して、所有者が区分所有建物の要件を満たす建物を増築した場合、増築後の建物を区分所有建物とするか否かは所有者の石に委ねられる
  5. 区分所有建物の要件を満たす建物の部分を有する普通建物について、その部分を第三者に譲渡したり抵当権の設定等を行ったときは、そのときに区分所有権が成立する